今回のテーマは「代襲相続」です。
第7話『相続権の喪失』で少し触れましたが、『代襲相続』は本来の相続人が何らかの理由で相続権を失った場合に登場します。
それでは、代襲相続のルールについて解説していきたいと思います。
本来の相続人が相続権を失い、代襲相続が発生する原因は以下の3パターンです。
1.本来の相続人が亡くなっている場合
2.本来の相続人が廃除された場合
3.本来の相続人が欠格となった場合
ここでまた新しい言葉が登場します。
相続権を失った本来の相続人のことを『被代襲者』、本来の相続人に代わって相続人になる人を『代襲者』といいます。
代襲者になれる人は法律で決まっており次の2つのケースで少し異ってきますのでケースごとに説明します。
1.本来の相続人が「被相続人の子」の場合
このケースは親よりも先に子が亡くなっている場合を想定したルールです。
下の家系図をご覧ください。
祖父が亡くなって相続が始まったとき、長男が既に亡くなっていたとします。
この場合、本来、祖父の相続権をもつはずだった長男に代わって、次の代の子、つまり被相続人の孫が代襲者となります。
(この家族の場合は、配偶者である祖母、被相続人の子である長女、長男の代襲相続人である孫①、孫②の合わせて4人が相続人となります)
なお、孫もすでに亡くなっているという場合には孫の子、すなわちひ孫が代襲者として相続権をもつなど、ご存命の下の世代の人にたどり着くまで何回も権利が下りていきます。
2.本来の相続人が「被相続人の兄弟姉妹」の場合
下の家系図のように配偶者や子がいない妹の相続が起こったとき(両親も死亡)、本来なら兄が相続権をもつケースで、兄も既に亡くなっている場合は兄の子、つまり妹からみると甥や姪が相続権をもつことになります。
ただし、兄弟姉妹が本来の相続人である場合の代襲相続は1回までしか次の代に権利がが移りません。(この点が上記1.本来の相続人が「被相続人の子」の場合と異なります)
相続の権利は最も血縁関係の遠い親族では甥や姪まで及ぶことがあります。
彼らからすると突然、叔父や叔母の相続の権利があることを知らされることも少なくありませんので、円滑に相続の手続きが進むよう、誰が相続権をもつのかは事前に知っておいた方がよさそうですね。