第21話『遺贈の放棄』 ~包括遺贈と特定遺贈の放棄の方法~

 

今回のテーマは「遺贈の放棄」です。

 

 

遺贈は、亡くなった方が遺言にその旨を書いただけで始まってしまいます。

遺言の内容が、遺産を受け取る側にとって良い内容ならいいですが、かならずしもそうであるとは限りません。

 

亡くなった方の一方的な意思表示によって不利内容の遺産を引き継がせることを予防するために、遺贈を受ける人は遺贈を「放棄」することができます。

 

また、遺贈を放棄する方法は「包括遺贈」の場合と「特定遺贈」の場合で異なりますので、それぞれのケースで遺贈放棄の方法をみていきましょう。

 

 

遺贈の放棄の方法

1.包括遺贈の場合

包括遺贈とは「遺産の2割を遺贈する」というように、割合を指定した遺贈のことを指します。

この場合は、自分が遺贈を受けることを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出をしなければなりません。

 

包括遺贈では、プラスの財産のみでなくマイナスの財産についても権利・義務を負うことになります。したがって、遺贈を放棄するということは「遺産に対する全ての権利・義務を放棄する」という意味になりますので注意してください。

 

2.特定遺贈の場合

特定遺贈とは「土地を遺贈する」「現金100万円を遺贈する」というように、特定の遺産を指定して遺贈することを指します。

特定遺産を受け取るように指定をされた人は、上記の包括遺贈とは異なり、いつでも遺贈を放棄することができます。

民法第986条「遺贈の放棄」

 

これは意思表示だけでOKですし、特に裁判所に申し出る必要もありません。

また、意思表示をしなければならない期限も設けられていません。

 

ただし、遺産の分割に関しては被相続人の親族を中心に、利害関係者が他にも存在しているケースが多くあります。

それらの利害関係者は、遺贈を受ける予定の人に対し相当の期間を定めて、遺贈を承認するか放棄するかの意思表示をするよう催促することができます。

民法第987条「受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告」

 

もし、期限までに承認や放棄の意思表示をしない場合は、「遺贈を承認した」とみなされますので注意してください。

 

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