今回は法定後見制度の2回目、『保佐』について解説していきます。
前回(第26話)の第1回目『後見』はこちらを参照ください。
『保佐』とは、言葉からなんとなくイメージはできると思いますが、代理、同意、取消ができる内容について、後見や補助と異なりますので違いをしっかりと整理しましょう。
保佐とは
判断能力が著しく不十分な状態の方を保護する制度です。
保佐を利用する本人のことを「被保佐人」、本人を代理、保護する人を「保佐人」、保佐人をチェックする人を「保佐監督人」と呼びます。
保佐の申し立て
被保佐人の住所地を管轄する家庭裁判所に制度利用の申立てを行います。
保佐の場合、本人以外の方が申立てを行うときには、制度の利用について被保佐人の同意をとる必要ありません。
保佐人の権限
「代理」については、申立ての範囲内で裁判所が認めた行為についてすることができます。
この行為については原則、本人の同意が必要となっています。
「同意」と「取消」については、重要な財産や権利に関する行為についてすることができます。
「重要な財産や権利」とは具体的には以下の通りです。
・利息や賃料を生む財産を受領すること
・利息や賃料を生む財産を利用すること
⇒ 利用:貸し出すことなど
・借金をすること
・借金の保証人になること
・不動産や重要な財産を買ったり売ったりすること
⇒ 売買契約など
・訴訟に関すること
・贈与、和解、仲裁合意をすること
⇒ 単に贈与を受けるだけならOK
・相続の承認若しくは放棄、遺産分割をすること
・贈与の申込みを拒絶すること
・遺贈を放棄すること
・負担付贈与、負担付遺贈を受けること
・新築、改築、増築、大修繕を行うこと
・長期間の賃貸借をすること
これらの行為は全くできないわけではなく、保佐人の同意があればすることができます。
また、被保佐人が保佐人の同意を得ることなくこれらの行為をしたときには、保佐人はその行為を取り消すことができます。