第69話『生命保険金の扱い』 ~遺産分割の対象となるか~

 

今回のテーマは「生命保険金の扱い」です。

 

相続のルールについて書かれている「民法」と税金のことについて書かれている「税法」は生命保険金の扱いは少し異なります。

今回は民法の視点と税法の視点の両方から説をしていきたいと思います。

 

1.民法上の扱い

生命保険金は受取人固有の財産として扱わます。

したがって、被相続人の相続財産には含まれず、遺産分割の対象にもなりません。

 

また、保険金の受取人が相続人のなかの一人で、その人が相続を放棄した場合でも、保険金は受け取ることができます。

 

2.税法上の扱い

税法上の場合は、契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が誰かによって、課税される税金の種類が変わってきます。

以下、3つの類型を挙げて、それぞれどの種類の税金が課税されるかを紹介します。

 

1.契約者:親、被保険者:親、受取人:子

被保険者が自ら保険料を支払っているパターンです。

この場合、受取人に相続税が課税されます。

 

2.契約者:子、被保険者:親、受取人:子

保険料負担者が受取人になるパターンです。

この場合、受取人に所得税が課税されます。

 

3.契約者:妻、被保険者:夫、受取人:子

保険料負担者も被保険者も受取人もそれぞれ異なる人のパターンです。

この場合、受取人に贈与税が課税されます。

 

上記の例の親子、夫婦の関係は一例で、大切なことは「誰が契約者か?」「誰が保険金の受取人か?」です。

 

また、保険金には非課税限度額が設定されおり「500万円 × 法定相続人数」控除されます。

ただし、受取人本人が相続を放棄した場合、この非課税限度額を使うことができませんので、保険金まるまる相続税の課税の対象となってしまいます。

 

今日のテーマをまとめると「保険金は民法上は相続財産ではないが税法上は相続財産とみなされる」です。

民法と税法での扱いの違いを頭のなかでゴッチャにしないでください。

 

納税資金の調達方法として生命保険を活用したい場合

各種保険の見直しのご相談はこちら

 

トップページ

 

 

関連記事

  1. 第88話『相続時精算課税制度』 ~制度概要と注意点~

  2. 第62話『三方路線影響』 ~道路にコの字型に囲まれた土地の補…

  3. 第58話『土地の評価の補正』 ~利便性を考慮した評価補正~

  4. 第87話『教育資金の一括贈与に関する非課税措置』 ~子や孫に…

  5. 第84話『贈与税の計算方法』 ~税率と控除額~

  6. 第50話『相続税のおはなし』 ~相続税の歴史と考え方~

公式LINEアカウントで相談受付中

友だち追加

相続関連記事

PAGE TOP