これまで贈与(生前贈与)について税金の仕組みや非課税措置(節税対策)の解説をしてきましたが、もう一度原点に戻ってみたいと思います。
生前贈与を考えていらっしゃる方!
その生前贈与はメリットがありますか?
デメリットの方が大きくないですか?
私なりにアドバイスをさせていただきますので、いま一度考えてください。
相続税は支払わなければなりませんか?
以前、相続税の計算方法を解説した時に、遺産額が基礎控除額の範囲内である場合は相続税を納めることがないことをお伝えしました。
さて問題です。
平成28年に発生した相続のうち、相続税を納税しなければならなかった件数の割合は全体の何%だったでしょうか?
答えは… 8.1%です。
つまり12件~13件に1件の割合でした。
さて皆さんは本当に相続税を納めなければならないのでしょうか?
生前贈与の最大の目的は相続税の節税です。
そもそも相続税を納める必要がない方にとって節税や生前贈与に大きなメリットはありません
まずは財産を洗い出し、本当に相続税を納税しなければならないかを見直しましょう。
相続税の節税額以上に贈与税を払うことになりませんか?
相続税の税率と贈与税の税率を比較すると贈与税の税率の方が高くなっています。
相続税の税率表
贈与税の税率表
これまで紹介してきた贈与税の非課税措置には限度額が設定されており、それを上回る贈与に対しては贈与税が課税されます。
生前贈与によって、結果的に相続税の税率は下がったものの、それ以上に贈与税を支払うことになっては意味がありません。
「生前贈与はしない」という選択肢も含め、どの方法が最も節税に向いているのか、いま一度、天秤にかけて考え直しましょう。
老後の資金、納税の資金は考えてますか?
生前贈与を検討されている方は、ご自身の今後の生活のことも合わせて考えましょう。
生活費はもちろん、医療費や娯楽費など、思った以上にお金が必要なケースが多くあります。
ご自身の生活プランを元に、年間に必要な金額を計算し、贈与する金額を算出しましょう。
また、相続税を納税しなければならない場合は相続人の負担を軽減させるために、納税資金を遺してあげることも考えてあげた方がいいかもしれませんね。
まとめ
このように、生前贈与が大きなメリットを生むケースは非常に限られています。
また、親族間での不要な“感情の対立”を招きかねません。
「あの子は贈与を受けたのに、私は貰ってない…」という感じで…
贈与者本人は良かれと思ってやったことが逆にその後のトラブルの元になってしまう可能性も十分にあります。
生前贈与を考えるときは「お金の面」と親族の「感情の面」の両方から検討してみてください。
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