民法第913条 資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担
担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。
意訳
相続分を満額取得できなかった場合に不足分を補う責任をもつ共同相続人のなかに、自身が負担する分を補う資力がない人がいる場合、その分については不足分の補填を求める人ならびに他の資力のある人が相続分に応じて分担する。
ただし、不足分の支払いを補填を求める人に過失があった場合には、他の共同相続人に補填を求めることができない。
条文解説
ある特定の相続人が自身の相続分を満額取得できなかった場合、原則として他の相続人が相続分に応じてその不足分を分担して補うことになりますが、その中に自分が分担する不足分を補えない人がいる場合について書かれたルールです。
たとえば、共同相続人A、B、Cの3人(いずれも被相続人の子)がいて、Aが500万円の債権を相続したとします。
ところが債務者が200万円しか返すことができない場合、Aは300万円を損することになります。
この場合、300万円をA、B、C3人で分担して(1人100万円)補いましょうということになります。
ここまでが民法第912条に書かれているルールです。
では、本来100万円を補うはずだったBが60万円しか補う能力がなかった場合はどうすればいいのか。
これを定めたのが民法第913条です。
条文によると、このような場合はBが補えなかった40万円をAとCの2人で分担することとしています。
但し書きの「求償者の過失」とは、上記の例で言うと、Bに100万円を補う能力があるうちに、Aが請求をしなかった場合が典型的な例です。