民法第948条「相続人の固有財産からの弁済」

 

民法第948条 相続人の固有財産からの弁済

財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。この場合においては、相続人の債権者は、その者に先立って弁済を受けることができる。

 

意訳

財産分離の請求をした者および配当加入の申出をした者は、相続財産から満額弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人がもともと持っていた財産のなかから弁済を受けることができる。

ただし、相続人にも債権者がいる場合はその債権者が先に弁済を受けることができる。

 

条文解説

亡くなった被相続人の債権者(相続債権者)が財産分離の請求(民法第941条)をし、さらに相続人にも債権者がいる場合に「誰に対して、どの財産から、どの順番で弁済するか」が書かれた規定です。

相続債権者は相続財産のなかから優先的に弁済を受けることができますが(民法第942条)、それでも満額の弁済を受けられなかった場合、次に相続人がもともと持っていた財産のなかから弁済を求めるのは当然考えられる流れです。

しかし、その相続人にも債権者がいる場合には、その債権者の立場が突然不安定になってしまいます。

そこで、相続人が相続債権者からもともと持っていた財産のなかから弁済を求められた場合には、まず相続人の債権者に対して弁済を行い、その後に相続債権者が弁済を受けられなかった部分について弁済を受けることができるとしました。

 

関連条文

民法第941条 相続債権者又は受遺者の請求による財産分離

相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から三箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。

第2項

家庭裁判所が前項の請求によって財産分離を命じたときは、その請求をした者は、五日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。

第3項

前項の規定による公告は、官報に掲載してする。

 

民法第942条 財産分離の効力

財産分離の請求をした者及び前条第二項の規定により配当加入の申出をした者は、相続財産について、相続人の債権者に先立って弁済を受ける。

 

【相続オールサポート大阪】トップページ

 

関連記事

  1. 民法第989条「遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し」

  2. 民法第938条「相続の放棄の方式」

  3. 民法第1010条「遺言執行者の選任」

  4. 民法第916条「相続の承認又は放棄をすべき期間」

  5. 民法第943条「財産分離の請求後の相続財産の管理」

  6. 民法第996条「相続財産に属しない権利の遺贈」

公式LINEアカウントで相談受付中

友だち追加

相続関連記事

PAGE TOP