民法第959条「残余財産の国庫への帰属」

 

民法第959条 残余財産の国庫への帰属

前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。

 

意訳

特別縁故者への財産分与が終わってもなお残った遺産は国庫に帰属する。この場合、相続財産清算人は遅滞なく精算の計算をして報告しなければならない。

 

条文解説

「相続人がいない場合、遺産は国のものになる」という話は聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、いきなり国庫に入るわけではなく、これまで第951条から説明してきたように、所定の手続きを経たうえで最終的に国庫に帰属することになります。

 

相続人がいない場合の手続きの流れは以下のようになります。

1.相続財産の法人化(第951条

2.相続財産清算人の選任および相続人申出の公告(第952条
 
3.相続債権者や受遺者に対する請求申出の公告(第957条
 
4.相続債権者や受遺者に対する弁済
 
5.特別縁故者の財産分与(第958条の2
 
6.国庫への帰属(第959条)

 

これらの手続きの流れをかみ砕いて理解すると、法律が言うには「できる限り、相続人を探す努力はしなさい。亡くなった方の債権者や受遺者への弁済は先に行いなさい。どうしても相続人が見つからないときは遺産を取得するのに相当する人(特別縁故者)に遺産を分け与えなさい。それでも誰の手にも渡らない遺産がある場合は国庫に帰属させなさい」ということになります。

 

関連条文

民法第956条 相続財産の管理人の代理権の消滅

第2項

(前略)相続財産の管理人は、遅滞なく(中略)管理の計算をしなければならない。

 

民法第951条 相続財産法人の成立

相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

 

民法第952条 相続財産の精算人の選任

前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。

第2項

前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

 

民法第957条 相続債権者及び受遺者に対する弁済

第九百五十二条第二項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。

第2項

第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

 

民法第958条 権利を主張する者がない場合

第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

 

民法第958条の2 特別縁故者に対する相続財産の分与

前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

第2項

前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

 

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