民法第1021条「遺言の執行に関する費用の負担」

民法第1021条 遺言の執行に関する費用の負担

遺言の執行に関する費用は、相続財産の負担とする。ただし、これによって遺留分を減ずることができない。

 

意訳

遺言の執行に必要な費用は遺産のなかから支出する。ただし、これらの費用の支出によって各相続人の遺留分を減額することはできない。(遺留分は費用支出前の遺産額を元に計算される)

 

条文解説

遺言を執行する際に必要となる「費用の出所」について規定されたルールです。

ここでいう“費用”とは、たとえば遺言書の検認手続きに関する費用、財産目録の作成にかかる費用、不動産の名義人を変更する登記費用、遺言執行者への報酬などが含まれます。

これらの費用については原則として相続財産、つまり遺産のなかから支出することになっています。

 

ただし、遺産のなかから遺言の執行に関する費用の支出があったとしても、遺留分(法律上定めらている各相続人の最低限の取り分)は費用の支出前の遺産の評価額を元に計算されることになります。

たとえば、父(遺産額:1,000万円)が亡くなり、母(配偶者)と子1人の合わせて2人が相続人である場合、母と子はそれぞれ4分の1ずつ、すなわち250万円の遺留分があります。

ところが、父が1,000万円の遺産全て母に相続させる遺言を書いていた場合、子は母に対して遺留分を取り戻す請求をすることができ、母:750万円、子:250万円とする分配ができます。(費用の支出がない場合)

一方で、遺言の執行に100万円の費用が必要となった場合、この費用は遺産のなかから支出しますので遺産の残りは900万円となります。

この場合は「遺留分を減ずることができない」という条文によって、子の遺留分は250万円のままとなり、最終的には母:650万円、子:250万円での分配となります。(子の遺留分:費用支出後の900万円の4分の1=225万円は間違い

 

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