今回のテーマは「相続権の喪失」です。
文字通り、相続する権利を失うということなのですが、一体どのようなケースで相続権を失うことになるのでしょうか。
相続権の喪失のパターンは大きく分けて4つあります。
1.相続人の死亡
2.相続の放棄
3.廃除
4.欠格
それでは、それぞれのケースを詳しくみていきましょう。
1.相続人の死亡
相続権をもった人が亡くなると、権利自体も消滅します。
本来、相続人となるはずだった方が既に亡くなられている場合は次の代の人が代わって相続権をもつことになります。
これを『代襲相続』といいます。
2.相続の放棄
相続人は権利を放棄することができますが、法律上、相続放棄とは財産を一切相続しないという意味になります。
相続の放棄の場合は、自らの意思で権利を放棄しているわけですから、次の代の人が代わって相続権をもつことも認められません。
3.廃除
これは相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱、著しい非行を加えたときに、被相続人がその相続人の相続権を剥奪することです。
被相続人は家庭裁判所に請求するか、または遺言で意思表示をすることによって、その相続人を廃除することができます。
廃除の場合は次の代の人が代わって相続することが認められています。
4.欠格
欠格となるケースは相続の安全性を脅かすほどの非行をした相続人の相続権を法律上、剥奪するといったものです。
欠格となる行為は法律(民法)によって次の5つが定められています。
1.故意に被相続人や先順位・同順位相続人を死亡させた者、死亡させようとした者で刑に処せられた場合
2.被相続人が殺害されたことを知っているにも関わらず、犯人を訴えなかった場合
3.詐欺や強迫によって、被相続人が遺言を書くこと、撤回すること、取消し、変更することを妨げた場合
4.詐欺や強迫によって、被相続人に遺言を書かせたり、撤回させたり、取消しさせたり変更させた場合
5.遺言を偽造、変造、破棄、隠匿した場合
ただし、欠格者の子や孫には影響はなく、欠格の場合でも代襲相続は認められます。