今回のテーマは「遺贈」です。
亡くなった方の財産を引き継ぐには、相続のほかに『遺贈』という方法があります。
相続と遺贈は「死後、無償で財産を譲る」という点は共通していますが、法律や税務上、その取扱いは異ります。
ここでは「相続と遺贈の違い」にスポットを当てて解説したいと思います。
1.発生の要件
相続
人が亡くなれば当然に発生します
遺贈
遺言書に遺贈の旨を書かなければ発生しません
2.遺産を受け取る資格がある人
相続
法律で規定されている相続人のみ
遺贈
相続人もしくは相続人以外の人
3.税金について
①登録免許税
不動産の名義変更の際に納める税金です
相続
固定資産税評価額の0.4%
遺贈
固定資産税評価額の2.0%
②相続税
相続
通常の相続税の計算に基づいて算出された税額を負担します
遺贈
遺贈によって財産を取得した人が被相続人の配偶者もしくは1親等以内の血族(父母、子)でない場合、通常の納税額に2割加算されます。
たとえば、生前にお世話になった方や慈善団体への寄付など、相続人以外の人に遺産を譲りたいとお考えの場合には遺言書にその旨を書かなければ実現することができません。
法定相続人がいない場合(たとえば未婚で子どもや兄弟がいない場合など)、遺産は所定の手続きを経て最終的に国庫に入ることになります。(2020年には約600億円の遺産が国庫に入っています)
自身が築き上げた財産を特定の人に役立ててほしいと考える場合には「遺贈」という方法も検討してみる価値はありそうです。