今回のテーマは「法定後見制度」です。
前回『第23話 成年後見制度①』では任意後見制度について解説をしました。
任意後見制度のメリットは、自身の代理をしてもらう人を事前に指定できること、代理してもらう内容を自由に決められることでした。
一方で今回解説する「法定後見制度」については対象となる方や代理権の範囲などについて、すでに法律で決められていることが多くなっています。
それでは「法定後見」について詳しくみていきましょう。
法定後見制度とは
任意後見制度と同じく、判断能力が十分でない方の財産や権利を守ることが目的です。
法定後見制度では、本人に代わって代理をする人が裁判所によって選任されます。
選任された人は本人を代理して契約をしたり、不利益な契約を取り消したりすることで、本人の財産や権利を守ります。
法定後見の種類
法定後見には、本人の判断能力の違いによって以下の3種類があります。
1.後見
2.補佐
3、補助
下にいくほど、本人の判断能力がしっかりしていることになります。
後見の場合、契約などの代理してもらう人のことを「被後見人」、本人を代理する人を「後見人」と呼びます。
同じく補佐の場合は、代理をしてもらう人のことを「被保佐人」、本人を代理する人を「保佐人」と呼びます。
補助も同じで、代理してもらう人を「被補助人」、本人を代理する人のことを「補助人」と呼びます。
法定後見の申し立て
まず、本人(被後見人)の住所を管轄する家庭裁判所に申し出をします。
申し出た後は鑑定手続や後見人の適格性の調査などの審理が行われます。
その後、後見人が選任され、後見開始の審判が下りれば法定後見が開始されます。
事情によって違いはありますが、申出から審判がおりるまでの期間は4ヶ月程度となっています。
申し立てをすることができる人
法定後見制度の利用を家庭裁判所に申し出ることができる人には制限があります。
下記の人のみが申し出が可能です。
・本人
・本人の配偶者
・四親等内の親族
⇒ 親、子、孫、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親、子、兄弟姉妹
・検察官
・市町村長
多くの場合は配偶者や親族によって申立てが行われます。
身寄りのない方については本人に代わって申立てを行えるよう、検察官や市町村長が申立てをすることができるようになっています。