今回のテーマは「利益相反行為」です。
難しい言葉ですが、単語ごとに区切って読んだそのままの意味です。
相続における利益相反行為とは、「相続人同士の間で利害関係が生じるおそれのある行為」を意味します。
利益相反行為の典型例
相続の場面での利益相反行為の典型的なケースは「親と未成年の子」が共に相続人となる場合です。
未成年者が契約などの法律行為を行う際には親権者などの法定代理人の合意が必要となります。
携帯電話の契約を思い浮かべていただければ分かりやすいかと思います。
相続も立派な法律行為の一つなのですが、親の取り分が増えると、子の取り分が連動して減るといった関係になりますので、親子の間で利益が相反することとなってしまいます。
利益相反行為とならないために
そもそも、利益が相反する関係の人は、たとえ親であっても、未成年者を代理する権限はありませんので、“代理人として”遺産分割協議に参加することはできません。
未成年を代理する権限がない人が参加して行われた遺産分割協議は無効となりますので注意が必要です。
利益相反行為に該当するような場合には未成年者のために“特別代理人”を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません。
特別代理人選任の請求
特別代理人の選任を請求できる人は親権者ならびに利害関係人です。
また、請求をする家庭裁判所は、未成年者の住所地を管轄するところとなります。
なお、特別代理人については親権者や利害関係人が、その候補者を挙げることができます。
請求後、特別代理人が選任されれば、未成年者の代理人として遺産分割協議に参加することとなります。
このルールが設けられた大きな目的は「親に自由に遺産分割をさせない」「立場の弱い未成年者の利益を保護する」ことにあります。
少々、手間と時間がかかってしまいますが、円滑な遺産分割を行うために、このルールの趣旨と目的を理解していただきたいと思います。