今回のテーマは「相続税の歴史と考え方」です。
相続対策と聞いて、真っ先に「相続税」という言葉を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回は相続税について、その歴史と考え方を解説したいと思います。
相続税のはじまり
相続税は欧米が起源とされています。
そもそも相続税には「遺産税」と「遺産取得税」の2種類の考え方があります。
「遺産税」は、故人の財産に対して一括して課税する制度です。
生前に取得した財産について死後、その一部を社会に還元するべきだという考えに基づいています。
一方、「遺産取得税」は人の死という偶然の理由によって、相続人の財産が増加することを抑えることを目的にはじまったとされています。
日本の相続税の歴史
日本に相続税が登場したのは今から約100年以上前の1905年のことです。
当時は「遺産税」(社会還元)を採用していました。
戦後、GHQの要請を受けた使節団によって日本の税制度は見直され、相続税は「遺産取得税」(財産増加抑制)に移行しました。
これは、一部への富の集中を防ぐことが大きな目的だといわれています。
現在の日本の相続税の制度は「遺産取得税」にベースを置きながら「遺産税」の要素も少し含まれているといえます。
なぜ相続税を払うのか?
そもそも、なぜ相続税というものが存在するのでしょうか。
相続に税金が課せられる意味については大きく分けて以下の2つに分けることができます。
1.富(財産)の再分配
2.所得税の埋め合わせ
1つ目の「富の再分配」についてですが、これは一部の相続人に財産が偏って相続されないようにすることを指します。
相続税は、相続する財産の金額が大きければ大きいほど税率が高くなる仕組みをとっています。
この仕組みはまさに、一部の人に富が集中しないように事前に抑止するものと言ってもいいと思います。
2つ目の「所得税の埋め合わせ」ですが、これは故人が「生前に支払った所得税が少なかったから、多くの財産を所有することができたのだ」という考え方に基づいています。
つまり、故人が生前に支払うべきであった所得税を相続税というカタチで徴収しようとするものです。
少々強引な感じもしますが、これは国で決められたルールなので仕方ありません…