民法第965条「相続人に関する規定の準用」
第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
意訳
遺贈を受ける人は、民法第886条(胎児の権利能力)および891条(相続人の欠格事由)のルールに従わなければならない。
条文解説
受遺者とは遺贈によって遺産を譲り受ける人のことを指します。
民法第886条では『相続では胎児は生まれたものとみなす』と規定されています。
つまり、胎児を受遺者として遺贈する旨の遺言は有効となります。
民法第891条は相続人の欠格事由について規定されています。
相続欠格とは、相続人が相続の安全性を脅かすほどの非行をした場合にその人の相続権を法律上、剥奪するというものです。
受遺者もこの規定に従い、該当する行為(下記「関連条文」参照)があった場合には受遺者としての地位を剥奪されることになります。
関連条文
民法第886条 相続に関する胎児の権利能力
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2項
前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
民法第891条 相続人の欠格事由
次に掲げる者は、相続人となることができない。
1号
故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
2項
被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときは、この限りでない。
3項
詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
4項
詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
5項
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者