民法第1010条「遺言執行者の選任」

民法第1010条 遺言執行者の選任

遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

 

意訳

遺言書のなかで遺言執行者が指名されていない場合や指名された人がいなくなってしまった場合、家庭裁判所は利害関係人の請求によって遺言執行者を選任することができる。

 

条文解説

遺言書に書かれた内容を実現するための権限をもつ「遺言執行者」を指名するかしないかは原則として自由ですが、遺言書を書いた人が事前に遺言執行者を指名する場合にはその旨を遺言書のなかに書いておかなければなりません。

しかし、遺言執行者が指名されていない場合や指名された人が亡くなっている場合には遺言執行者に就くことができる人はいませんので、遺言書の内容を実行するための各種手続きを行う際に支障が出てきてしまうおそれがあります。

 

また「認知(婚姻関係にない男女の間に生まれた子と父親の父子関係を成立させる手続き)」や「相続人の廃除及びその取消し」は遺言執行者しか行うことができず、これらの手続きが必要なケースでは遺言執行者を定めなければなりません。

そこで、遺言執行者に就く人がいないケースにおいて、遺言執行者としての役割を果たしてもらう人が必要な場合には利害関係人(相続人や遺贈を受ける人など)が家庭裁判所に対して請求することで遺言執行者の選任を求めることができるようになっています。

 

遺言執行者選任の請求は所定の申立書に必要事項を記入して家庭裁判所に提出します。

申立書のなかには「申立ての理由」という欄があり、そこには理由(「遺言執行者の指定がないため」など)のほかに遺言執行者の候補者の希望を書くこともできます。

 

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