今回のテーマは「三方路線影響」です。
三方路線影響とは
三方が道路に囲まれている土地、つまり「コの字型」に道路に囲まれている土地に適用される評価方法です。
このような土地は二面が道路に面している土地よりもさらに利便性が高くなり、評価額も高くなります。
参考:その他の土地の評価補正
側方路線影響(角地の評価補正)
二方路線影響(道路に挟まれた土地の評価補正)
間口狭小補正(間口が狭い土地の評価補正)
奥行長大補正(奥行が長い土地の評価補正)
がけ地補正(崖がある土地の評価補正)
不整形地補正(いびつな形の土地の評価補正)
三方が道路に面している土地の評価方法
実際に例題を使いながら、次の土地の評価を計算してみましょう。
・「普通住宅地区」にある土地
・土地の大きさは南北:20m
・ 〃 東西:30m
・土地の北、西、南が道路に面している
・北側の道路の路線価:100千円
・西側の道路の路線価:150千円
・南側の道路の路線価:200千円
1.まず「正面路線」を決める
二方路線影響と同じように正面路線は「路線価 × 奥行補正率」の計算結果が最も高い道路になります。
下の奥行補正率表(下表)を使って今回のケースの3本の路線を比較すると
北側:100千円×1.00=100千円
西側:150千円×0.98=147千円
南側:200千円×1.00=200千円
この結果、南側の道路が正面路線ということになります。
2.北側の路線の加算額を算出する
まず北側の道路の加算額を計算します。
北側の道路は正面路線である南側の道路からみると、向かい合う関係になります。
この場合は「二方路線影響加算率」を使って加算額を算出します。
二方路線影響の加算額を求める計算式は「路線価 × 奥行価格補正率 × 加算率」でしたね。
この計算式を当てはめてみると
100千円×1.00×0.02=2千円となります。
これが北側の路線の加算額となります。
3.西側の路線の加算額を算出する
つぎに西側の道路の加算額を計算します。
西側の道路は正面路線である南側の道路からみると、角をつくる関係になります。
この場合「側方路線影響加算率」を使って加算額を算出します。
加算額を求める計算式は先ほどと同じで「路線価 × 奥行価格補正率 × 加算率」です。
これを当てはめると
150千円×0.98×0.03=4.41千円となります。
これが西側の路線の加算額となります。
4.土地の㎡単価を算出する
正面路線である南側の路線価に2,3で算出した加算額をプラスします。
200千円 + 2千円 + 4.41千円= 206.41千円
これがこの土地の㎡単価です。
5.最後に面積を掛け合わせます
4で出てきた㎡単価に土地の面積を掛け合わせて、最終的な評価額を算出します。
206.41千円×20m×30m = 123,846,000円
これが、この土地の評価額となります。
計算が増えましたが、やることはこれまでと大きく変わりません。
つまり、正面路線を決めて、その他の路線の影響をプラスしてあげるという流れです。
これは四方を道路に囲まれている土地でも同じことになります。
ポイントは「奥行価格補正率」や「側方路線影響加算率」の数値を正しく見つけ出すことです。
その土地を客観的に見るためにも、一度紙に簡単な見取り図を書いてみると間違いを防げるかもしれません。