民法第898条「共同相続の効力」

 

民法第898条 共同相続の効力

相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する。

第2項

相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。

 

意訳

相続権をもつ人が複数いる場合、は全員が共有している状態とする。

第2項

相続財産について共有に関する規定を適用するときは、「法定相続分」または遺言による「指定相続分」を各相続人の持分の基準とする。

 

条文解説

相続人が1人の場合は、被相続人産はその相続人が単独で相続することになりますが、相続人が複数人いる場合は、いったん遺産は相続人全員で共有することになります。(これを「遺産共有」といいます)

 

たとえば被相続人が遺言書を書かずに亡くなられたり、言書に書かれていない遺産があなどは相続人全員で遺産分割を行い、「誰が」「何を」「いくら」相続するのかを決めなければなりません。

遺産分割で相続人全員の合意が得られると共有状態は解消され、合意内容に基づいて相続人がそれぞれ遺産を取得することになります。

 

第2項

2023年4月1日に施行された条文です。

これまで共有に関する規定を適用する際に各相続人の共有持分の割合をどのように定めるかについては規定がありませんが、法改正により「法定相続分」または遺言による「指定相続分」を各相続人の持分の基準とする規定(本項)が新設されました。

 

本条第1項で規定されているように、相続によって遺産が共有状態になった場合には各相続人の持分が問題となることがあります。

過去の裁判例では「一般的な共有」も「相続による遺産共有」も共有の性質的には同じであると示されており、遺産共有においても特段の規定がない限りは民法第249条以下の「共有」の規定が適用されます。

これら「共有」の規定のなかに出てくる『各共有者の持分』について、遺言がない場合には「法定相続分」、遺言がある場合には「指定相続分」が各相続人の持分となります。

 

 

関連条文

民法第900条 法定相続分

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

 

民法第901条 代襲相続人の相続分

第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。

第2項

前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

 

民法第902条 遺言による相続分の指定

被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

第2項

被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

 

 

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