民法第960条 遺言の方式
遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
意訳
遺言書は、この法律(民法)に定める方式に従って書かなければならない。
条文解説
遺言を遺すことは、他人が関与しない単独の行為です。
遺言書は書いた人の存命中は効力がなく、亡くなってはじめて遺言書としての効力をもちます。
もし、一人一人が自由な書き方で遺言書を書くことを認めてしまえば、本当の遺志を読み解くのが困難となるだけでなく、偽造も簡単にできてしまうなど、大きな混乱を招く可能性があります。
そこで、有効な遺言書として認められるためには、民法が定める方式で書かなければならないと決められました。
民法の定める方式とは「自筆証書遺言」(民法第968条)、「公正証書遺言」(民法第969条)、「秘密証書遺言」(民法第970条)を指します。
関連条文
民法第968条 自筆証書遺言
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
第2項
前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
第3項
自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
民法第969条 公正証書遺言
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
民法第970条 秘密証書遺言
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
第2項
第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。