民法第977条 伝染病隔離者の遺言
伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官一人及び証人一人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。
意訳
伝染病による行政処分によって隔離された人が遺言書を遺す場合は、警察官1人および証人1人以上の立会いのもと、遺言書を作衛することができる。
条文解説
遺言書には2つの方式(普通方式と特別方式)と7つの種類があります。
本条で規定されている遺言書は特別方式の一般隔絶地遺言(下の表の⑤)に関するルールです。
伝染病によって一般社会との交通が断たれた場所に隔離をされた人は、公正証書遺言を遺したくても公証役場に行けないため、これを遺すことはできません。
そこで、これに代わって警察官1人と証人1人以上の立会いによって作成できるようにしたものが「隔離地遺言」です。
この隔絶地遺言は伝染病による隔離に限らず、自然災害などで交通を断たれた場所にいる人や刑務所に入っている服役囚も遺すことができます。
なお、作成時に警察官の立会いがあるため、家庭裁判所による確認(民法第976条4項など)は不要とされていますが、遺言書執行時には家庭裁判所による検認の手続きは必要となります。
関連条文
民法第976条 死亡の危急に迫った者の遺言
第4項
(前略)遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。