民法第935条「公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者」

 

民法第935条 公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者

第九百二十七条第一項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

 

意訳

公告期間内に債権の申出を行わず、限定承認者にも把握されていなかった相続債権者や受遺者は、他の債権者への弁済が終わったうえで残った遺産に対してのみ権利を行使することができる。ただし、抵当権などの担保権をもつ者は優先的に弁済を受けられる。

 

条文解説

相続債権者や受遺者が公告期間内に債権の申出を行わず、限定承認者にも自身が債権者であることを把握されていなかった場合に受けることができる弁済について書かれています。

限定承認の「早期に権利関係を確定して清算を行う」という目的に背く行為をした人は一定の責任とリスクを負わなければなりません。

 

この場合、相続債権者や受遺者は公告期間内に債権の申出を行っていれば、他の債権者と同様に遺産全体から弁済を受けることができたにもかかわらず、それを怠った場合には遺産に余りがあったときだけ弁済を受けることができると定めました。

 

関連条文

民法第927条 相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告

限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。

 

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