今回のテーマは「奥行価格補正」です。
この補正は多くの土地について適用されることになりますので、しっかりと理解してください。
奥行価格補正とは
奥行価格補正は土地の1面が道路に接している土地に適用される補正です。
土地はほどほどの奥行があるものが最も利便性が高く、あまりに横に長い土地や縦に長い土地は利便性に欠け、その評価は通常よりも低くなるという考え方です。
評価額の計算方法
実際の土地の評価額は、次の計算式によって求めることができます。
路線価 × 奥行価格補正率 × 地積
奥行価格補正率は土地の奥行と立地によって細かく設定されています。
補正率は0.8~ 1.0の間で設定されており、利便性の高い土地ほど数字が大きくなっていく仕組みです。
この数字は掛け率ですので、補正率の数字が小さければ評価の値引額が大きくなることになります。
参考:その他の土地の評価補正
側方路線影響(角地の評価補正)
二方路線影響(道路に挟まれた土地の評価補正)
三方路線影響(コの字に道路に囲まれた土地の評価補正)
間口狭小補正(間口が狭い土地の評価補正)
奥行長大補正(奥行が長い土地の評価補正)
がけ地補正(崖がある土地の評価補正)
不整形地補正(いびつな形の土地の評価補正)
奥行価格補正率を調べる
まずは下のリンクをクリックしていただき、国税庁のホームページをご覧ください。
新しく開いたページの一番上にある「付票1 奥行価格補正率表」に書かれている数字(0.80~1.00)が奥行価格補正率です。
地区区分を調べる
表の中の横の行の地区区分は路線価図から調べることができます。
開いていただいた路線価図のなかで路線価を囲んでいる図形(丸や八角形)と路線価図上部にある図形の凡例を照らし合わせると、その土地の地区区分を知ることができます。
奥行価格補正率表(下表)をみてみると、たとえば普通住宅地区に該当する土地では奥行が10m ~ 24mの土地の補正率が1.00になっています。
補正率が1.00ということは、補正による減額はなしということになりますので、これくらいの奥行の土地が最も利便性が高いということがお分かりいただけると思います。
実際に計算してみましょう
次の土地の評価額はいくらになるでしょうか。
奥行価格補正率表を見ながら考えてください。
・普通住宅地区にあり、地積は200㎡
・奥行は30m
・路線価は100千円
まず、奥行価格補正率を調べます。
普通住宅地区で奥行が30mですので補正率は0.98になります。(下表参照)
この補正率を評価額を求める計算式「路線価 × 奥行価格補正率 × 地積」に当てはめてみましょう。
100千円 × 0.98 × 200㎡ = 19,600,000円
単純に「路線価 × 地積」だけですと、20,000,000円という評価額になりますが、奥行が30mあり、ちょっと利便性に欠けるため、実際の評価額は低くなりました。
なんとなく補正のイメージを掴むことができましたでしょうか。