民法第932条「弁済のための相続財産の換価」

 

民法第932条 弁済のための相続財産の換価

前三条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

 

意訳

相続債権者や受遺者に対して弁済を行うにあたって、遺産を売却し現金化する必要がある時は、競売に出さなければならない。

ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額を限定承認者が支払った場合は競売を止めることができる。

 

条文解説

相続債権者や受遺者に対して弁済を行うために、遺産を現金化しなければならない場合があります。

そのような場合は勝手に売却するのではなく、競売にかけなければならないとしています。

 

しかし、現金化しなければならない遺産が自宅や亡くなった方の形見だった場合、相続人は簡単には売却したくないはずです。

その気持ちを守るため、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額を限定承認者が支払い、相続債権者や受遺者に対して弁済を行った場合は競売にかけなくてもよいとしました。(本条但書)

この但し書きがあるおかげで、相続人としては大切な遺産を売却せずに済みますし、相続債権者や受遺者は弁済を受けることができるようになります。

 

関連条文

民法第929条 公告期間満了後の弁済

第九百二十七条第一項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。

 

民法第930条 期限前の債務等の弁済

限定承認者は、弁済期に至らない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。

第2項

条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。

 

民法第931条 受遺者に対する弁済

限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

 

民法第927条 相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告

限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。

 

【相続オールサポート大阪】トップページ

 

関連記事

  1. 民法第1019条「遺言執行者の解任及び辞任」

  2. 民法第1024条「遺言書又は遺贈の目的物の破棄」

  3. 民法第918条「相続財産の管理」

  4. 民法第1038条「配偶者による使用」

  5. 民法第1010条「遺言執行者の選任」

  6. 民法第958条の2「特別縁故者に対する相続財産の分与」

公式LINEアカウントで相談受付中

友だち追加

相続関連記事

PAGE TOP