民法第1039条 配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅
配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。
意訳
配偶者が一度、配偶者短期居住権を取得した場合であっても、その後に配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は消滅する。
条文解説
この条文は主に配偶者が建物の遺産分割の当事者となるケースで適用されます。
適用の流れとしては、まず民法第1037条第1項第1号によって『遺産の分割により居住建物の帰属が確定する日』まで一旦「配偶者短期居住権」を取得し、その後、遺産分割によって配偶者が「配偶者居住権」を取得したようなケースです。
このような順番で最終的に配偶者が「配偶者居住権」を取得した場合には、先に取得していた「配偶者短期居住権」は消滅することになります。
関連条文
民法第1037条 配偶者短期居住権
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日