民法第971条 方式に欠ける秘密証書遺言の効力
秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。
意訳
秘密証書遺言を作成した際に970条で求められている方式を欠いてしまった場合でも、自筆証書遺言の方式を満たしていれば、その遺言書は自筆証書遺言として効力をもつ。
条文解説
作成した秘密証書遺言に欠陥があった場合でも、自筆証書遺言の要件を満たしていれば遺言書を有効にするというルールです。
秘密証書遺言は、その内容を秘密にして遺言書の存在だけを認めてもらう方式の遺言書であるため、秘密証書遺言としての要件(民法第970条)を欠いて作成されてしまうケースがあります。
そのような場合は、秘密証書遺言としてはアウトだけれども、自筆証書遺言としての要件を満たしていれば有効な遺言書として認めましょうということになります。
したがって、秘密証書遺言を作成する際には、万が一要件を満たしていない場合に自筆証書遺言として扱ってもらうために、自筆証書遺言の要件(民法第968条)を満たすように書くことをお薦めします。
関連条文
民法第968条 自筆証書遺言
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2項
前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3項
自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
民法第970条 秘密証書遺言
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。