民法第1015条 遺言執行者の行為の効果
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
意訳
遺言執行者が「遺言執行者である」ことを示して行った権限内の行為は、相続人に対して直接その効力が生じる。
条文解説
法改正により2019年に施行された条文です。
改正前まで遺言執行者は「相続人の代理人とみなす」とされていましたが、今回の法改正により条文が大きく変わりました。
遺言執行者の権限については民法第1012条と第1014条に規定されています。
ポイントは法改正後の遺言執行者の役割は『遺言書に書かれた内容の実現』であり(民法第1012条1項)、遺言の実現によって不利益を受ける人がいたとしても、それが遺言に書かれた内容であれば遺言執行者は実行することができる点です。
そして、遺言執行者の行為が「権限内であること」と「遺言執行者であることを示した」うえで行われた場合には、その行為の効力は相続人に対して生じることになります。
関連条文
民法第1012条 遺言執行者の権利義務
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2項
遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
民法第1014条 特定財産に関する遺言の執行
前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
第2項
遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
第3項
前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。