民法第1045条 遺留分を算定するための財産の価額
負担付贈与がされた場合における第千四十三条第一項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。
2項
不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。
意訳
負担付贈与が行われた場合、その贈与の評価額は『贈与されたモノの価額から負担の価額を差し引いた額』とし、第1043条第1項で規定されている「贈与した財産の価額」に加えなければならない。
2項
不相当な対価をもってした有償行為は、被相続人と相手方の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、その対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。
条文解説
被相続人が負担付贈与を行った場合の贈与額の評価方法について規定されています。
この場合は『贈与されたモノの価額から負担の価額を差し引いた額』を贈与額として計上し、第1043条第1項で規定されている「贈与した財産の価額」に加えなければなりません。
たとえば被相続人である父が息子に「家を贈与する代わりに母の介護をするように」という負担付贈与を行った場合、この贈与による贈与額は『家の価額から母の介護に要した価額を差し引いた額』となります。
他の相続人との争いを避けるために、長男としては母の介護のために支出した分の領収書や振込み、引き落としの履歴を残しておいたほうが良いでしょう。
2項
『不相当な対価をもってした有償行為』とは、たとえば1000万円の評価額の土地を100万円で売ったようなケースです。
このような行為によって被相続人と相手方の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合、その行為は被相続人が受けた対価を負担の価額とする負担付贈与とみなされ、第1項の規定に基づく計算を行ったうえで第1043条第1項で規定されている「贈与した財産の価額」に加えなければなりません。
つまり、上記の例の場合、土地の価額(1000万円)から売却によって受けた対価(100万円、負担の価額)を差し引いた900万円を「贈与した財産の価額」に加えることになります。
関連条文
民法第1043条 遺留分を算定するための財産の価額
遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。