民法第939条「相続の放棄の効力」

 

民法第939条 相続の放棄の効力

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

意訳

相続放棄をした人は初めから相続人とならなかったとみなす。

 

条文解説

民法第938条の規定にされている方法に沿って相続放棄をした人は遺産に関する権利義務をもつことなく、そもそも相続人ではなかったこととして扱われます。

また、相続権をもつ人が1人しかいない場合にその人が相続を放棄したときは、次の順位の相続人に権利が移っていきます。(たとえば第一順位である子が放棄をした場合は第二順位の直系尊属に相続権が移ります)

相続人を決める順番については下記の関連条文をご参照ください。(民法第887条、889条)

なお、相続放棄をした場合、代襲相続(民法第887条第2項)は認められません。

 

関連条文

民法第938条 相続の放棄の方式

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

 

民法第887条 子及びその代襲者等の相続権

被相続人の子は、相続人となる。

第2項

被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

第3項

前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

 

民法第889条 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権

次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
第2項

第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

 

民法第891条 相続人の欠格事由

次に掲げる者は、相続人となることができない。

1号

故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

2号

被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

3号

詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4号

詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5号

相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

 

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